iPS細胞を使った再生医療製品の実用化で、拡張型心筋症などの重症心不全の治療を目指すバイオテクベンチャー
iHeart Japan株式会社
画像取得先: http://www.iheartjapan.jp/
会社概要・事業内容
会社概要
京都大学 iPS 細胞研究所の山下潤教授の研究成果である発明を譲り受け、再生医療製品の実用化に取り組むベンチャー。上記の技術を応用した細胞医薬品とリサーチ・ツールの研究開発をしている。
当社の旗艦製品はiPS細胞を原料とする心血管系細胞の多層体であり、拡張型心筋症などの重症心不全の治療に有効であると期待されている。
当社はこの「ヒトiPS細胞由来心血管系細胞多層体(IHJ-301)」を心不全の治療に用いる臨床研究を、大学病院等の協力を得て、行うことを計画。
2019年3月、当社が京都市上京区に設けた細胞培養加工施設において特定細胞加工物を製造する許可を厚生労働省から取得。本許可を得たことにより、当社は上述の臨床研究に提供する被験製品を製造できるようになった。
「IHJ-301」は、iPS細胞から作り出された心血管系細胞の多層体であり、動物実験などの結果から、拡張型心筋症、虚血性心疾患など心筋の異常に起因する重症心不全に有効であると期待されている。
拡張型心筋症は、原因が完全に解明されておらず、心臓移植以外に根治と言える水準の治療法がない。しかし、国内で実施される心臓移植は年間に50件程度で、約28,000人とされている拡張型心筋症の患者の大多数が心臓移植を受けられない。
当社は、再生医療によってこの問題を解決することを目指しており、2019年に臨床研究を、2020年に治験を開始することを目標として、製品開発プロジェクトを進めている。
当社は設立以来、IHJ-301の開発に取り組んでおり、IHJ-301を保護する特許を日本で二つ(特許第 5920741 号および特許第 5862915 号)取得。
再生医療によって標準治療を変える、また、医療のパラダイム・シフトを起こすことを志し、これからも尽力する。
事業内容
- 再生医療製品とリサーチ・ツールの開発
プロダクト
◆再生医療製品
「ヒトiPS細胞由来心血管系細胞多層体(IHJ-301)」
iPS細胞から作り出された心血管系細胞の多層体。
<コンセプト>
- 製品(心血管系細胞の多層体)から分泌されたサイトカイン等による心機能改善が見込める。
- 製品中に血管網が形成され、製品中を血液が循環することによって、製品が長期間生着するものと考えられている。
- 従来より長い生着期間が従来より強力な治療効果をもたらすものと期待されている。
◆リサーチ・ツール
「MiraCell®」Cardiomyocytes 3D/iPS細胞由来 模擬心臓壁
高度な分析には、心臓壁を模倣したモデルを
「MiraCell®」Cardiomyocytes/iPS細胞由来 心筋細胞
標準的な心臓安全性試験に最適。
ヒトiPS細胞から誘導した高純度心筋細胞であり、心筋細胞の性状・機能解析などに使用可能。また、心筋細胞の生理機能の解析だけでなく、MEA(Multi-electrode array)システム等を用いた種々の薬剤による心毒性試験などに対しても幅広く使用することができる。
「MiraCell®」Endothelial Cells/iPS細胞由来 内皮細胞
血管を持った組織の構築に。
細胞毒性が危惧される薬剤選択等に依存した純化工程を用いることなくヒトiPS細胞より分化誘導された高純度な血管内皮細胞(CD31陽性率 95%以上)。CD31、Tie2、vWF(フォンヴィルブランド因子)、CD144(VEカドヘリン)などの血管内皮マーカー発現のほか、LDL取り込みやチューブ形成能などの血管内皮細胞機能を製造ロット差なく安定して保持している。そのため、血管内皮細胞の性状・機能解析や創薬・毒性試験、再生医療研究などに幅広く利用可能である。
「MiraCell®」シリーズとは
当社が研究開発し、タカラバイオ株式会社が製造販売を行う、ヒトiPS細胞から分化させた高品質な研究用細胞および関連製品。
特許
- 新規心筋細胞マーカー(特許第6025067号)
出願日:2012年4月2日 他の特許取得国:US - 人工多能性幹細胞から心筋および血管系混合細胞群を製造する方法(特許第5920741号)
出願日:2013年3月15日 他の特許取得国:US、DE、GB、FR、IT - 効率的な内皮細胞の誘導方法(特許第5862915号)
出願日:2014年5月30日 - ハイドロゲルを組み込んだ積層化細胞シート(特許第5862915号)
出願日:2014年5月30日 他の特許取得国:CN、KR - CD82陽性心筋前駆細胞(特許第5924750号)
出願日:2015年4月16日
沿革
2018.09.10 AMEDの「再生医療シーズ開発加速支援」の補助対象先に採択。
2016.12.07 京都エコノミック・ガーデニング支援強化事業に採択。
2014.11.07 NEDOの「立体造形による機能的な生体組織製造技術の開発」委託事業に採択。
2014.05.14 NEDOのイノベーション実用化ベンチャー支援事業に採択。
2014.02.21 国立大学法人京都大学と特許等譲渡契約を締結。
2013.04.18 設立
受賞歴
2018年8月 大学発ベンチャー表彰2018(日本ベンチャー学会会長賞)
2016年8月 産学官連携功労者表彰(日本学術会議会長賞)
2015年4月 Rise Up Festa バイオ・ヘルスケア分野(最優秀賞)
2015年4月 Japan Venture Awards(医療技術奨励特別賞)
2015年3月 リアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤー2015受賞
2015年2月 日本バイオベンチャー大賞(経済産業大臣賞)
経営者プロフィール
代表取締役 角田健治
バイオテクノロジーを専門分野とするベンチャーキャピタル投資に従事した後、当社を設立。
(同社Webサイト、同社Wantedlyおよび同社PR TIMES掲載情報を基に当社編集)