独自技術で次世代の医薬品候補物質「Xenoligo®」の作製技術を確立。高機能性の核酸医薬品の創出を目指す
タグシクス・バイオ株式会社
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会社概要・事業内容
会社概要
「人工塩基対システム」の幅広い分野での実用化を目指して、2007年3月に設立された理研ベンチャー。
当社の基盤となる核酸の基盤技術は、科学技術振興機構ERATOプロジェクト、東京大学、理化学研究所を研究拠点として、平尾一郎氏(現在Institute of Bioengineering and Nanotechnology, Singapore)の研究チームによって開発された。
現在は、人工塩基を含むDNAライブラリーから高機能核酸分子「Xenoligo®」を創り出すことが可能なプラットフォーム技術と、独自の核酸の安定化の技術により、創薬事業を中心に事業を推進している。
関係機関:東京大学、国立研究開発法人理化学研究所
事業内容
- 独自の核酸基盤技術を用いた高機能核酸医薬品開発の創薬提携および自社創薬事業
技術概要
核酸医薬品の多くはmRNAなどの核酸配列に対して相補的に複合体を形成することによって機能を発揮する。それとは異なり、当社では核酸が特定の三次元構造を取り、その形が低分子やタンパク質に結合する性質を利用する創薬を目指す。
当社が開発した人工塩基を含み、多様な構造を取る特殊DNAライブラリーから、SELEXと呼ばれる手法を用いて疾患の原因となる標的分子にのみ選択的に強い親和性を有する分子を単離した後、独自技術で安定化と最適化を行い、医薬品としての候補物質「Xenoligo®」を創製。「Xenoligo®」は、従来の低分子医薬品や抗体医薬よりも高特異性・高親和性で標的分子に結合するため、次世代の医薬品となることが期待されている。また、「Xenoligo®」は、化学合成で製造されるため安価で、品質管理された安定的な供給が可能。当社は自社開発と同時に、国内外の製薬企業との共同開発提携により、高機能性の核酸医薬品の創出を目指して事業を展開する。
高機能核酸「Xenoligo®」による革新的医薬品開発
高機能核酸を作り出す創薬探索技術
天然のAとT、GとCの塩基対と同等の精度でPCR増幅が可能な第3のDNA塩基対開発の成功により、人工塩基対技術の実用化が可能になった。当社では試験管内選択法を用いて、標的物質に高親和力で結合する新規塩基を含む核酸分子「Xenoligo®」の作製技術を確立。この手法を用いれば、創薬探索を効率的に行える。
「XenoligoTM」の創出には、初めに新規塩基を含む特殊DNAのライブラリ(1014~1015分子)を準備する。そのライブラリの中から疾患の原因となる標的物質などに選択的に強く結合する分子を、選択。結合アッセイによる選択とPCR増幅のサイクルを複数回繰り返すことにより、最終的に結合力の高い分子を選択できる。その後、短鎖化した上でhairpin DNAを付加し、さらに一部の塩基配列の置換をすると、血清中においても数日間は安定な「Xenoligo®」が完成する。従来の核酸アプタマーが直面してきた、安定化のための塩基修飾による標的分子との結合力の低下や、それに伴うコスト高などの問題点もこの技術で克服。「Xenoligo®」は、DNAを構成成分とするため安価に製造ができ、化学合成で製造するため徹底した品質管理も容易である。これまでの医薬品の主役であった低分子と高分子の抗体医薬に続く、新規モダリティとして期待されている中分子医薬の担い手の一つであり、次世代型の核酸医薬品の提供が可能になった。
<基盤となる技術>
独自のプラットフォーム技術
遺伝子の本体であるDNAは、4種類の塩基(アデニン(A), グアニン(G), シトシン(C), チミン(T))からなる構成成分で作られる生体高分子である。これらの塩基はAとT、GとCがそれぞれ塩基対を作ることにより、DNAは二重らせん構造を形成しており、A-T, G-Cの2種類の塩基対の相補性が基本法則となって遺伝情報伝達(複製・転写・翻訳)の仕組みが成り立っている。この生物の仕組みを人工的に利用したのが遺伝子組換え技術であり、これによりバイオテクノロジーが急速に発展してきた。そして、その後の技術革新により、機能性の核酸やたんぱく質を作り出すことができるようになってきているが、そのひとつが、新規の塩基対による遺伝情報の拡張技術である。
DNAは、これまでは遺伝情報を蓄積した鋳型分子として用いられることが多く、機能性の分子としての認識は低かったが、現在は新たに作り出した塩基対(X-Y)をDNA中に導入することが可能になり、遺伝情報の拡張とともに、その高機能化が可能になってきた。この基盤技術は、当社の創業者である平尾一郎氏(現在、Institute of Bioengineering and Nanotechnology, Singapore)らが、理化学研究所等を研究の拠点として開発し、2007年以降は、当社との共同で事業化に向けた研究開発を続けてきたものである。このプラットフォームの技術を基盤として、当社では、「Xenoligo®」の創薬事業にフォーカスを当てて事業化を進めている。
経営者プロフィール
代表取締役 古関千寿子
(同社Webサイトを基に当社編集)