システムロスを低減する独自技術「アクティブ・セルバランス」を世界に先駆けて開発。自動車メーカー等に高評価
NExT-e Solutions株式会社
画像取得先: https://www.nextes.jp/
会社概要・事業内容
会社概要
蓄電池の制御システム(BMS:Battery Management System)と周辺デバイスの開発に取組むスタートアップ。創業以来、蓄電池システムを大型化する上で重要な“直列電池の均等化”をテーマに独自技術の研究開発に取り組む。
大型リチウムイオン電池のバッテリーマネジメントシステム(BMS)の研究開発・製造・販売を行う。2008年に設立、2010年からは東京大学のベンチャーキャピタルから企業経営の支援を継続的に受け、東京大学内のインキュベーション施設に本社を構えている。
当社の主力製品であるBMSは、電池システムの運用に不可欠なキーコンポーネントである。当社の製品は電池の安全に配慮した保護技術と高精度な容量計算、電池の利用効率を高める制御技術で独自のコンセプトを取り入れており、一般のBMSに比較して、電池を安全で扱いやすく長寿命に運用できることを特長としている。次世代技術の開発に力を入れており、中でも独自のアクティブ・セルバランス(ACB)技術は、自動車メーカや電池メーカに高く評価されている。急速に普及が進む電気自動車(EV)と環境に配慮した使用済みEV電池を再利用する新規事業など、複数のプロジェクトを立ち上げている。
当社の開発は、電池のケースにBMSを組み込んだ電池パック製品からスタート。開発当初から、電圧と容量のバラつきを是正しシステムロスを低減するACB技術を世界に先駆けて開発するなど、先行技術開発に注力している。
2011年には、発展途上の国や地域で移動型電源装置のニーズが高まり、その要望を受け、BMSの枠を超えた製品としてインバータと充電器、無停電回路を含めた応用製品の開発を行い、充電器と負荷装置を含めたシステム全体に関わる幅広い知見を深めている。
2013年には、本格的なEV普及に先行し、電動フォークリフト用BMSを開発、大手メーカが採用。車載用BMSの量産と出荷後のアフターフォローを通して、当社製品の生産と品質の実績を得ている。
蓄電の市場は、これから太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの更なる活用で、電力供給安定化のため大規模化が進む。当社は現在、これらの新たなニーズに応える新製品(新技術)として、高電圧で利用効率を高めるアクティブ・モジュールバランス(AMB)と、高容量で高い信頼性を得られるインテリジェント・ホットプラグ・スイッチ(IHS)の開発に注力。これにより、高電圧化と高容量化で幅広いニーズにお応えできる蓄電技術プラットフォームができると考えている。
事業内容
- リチウムイオンバッテリーの次世代バッテリーマネジメントシステム(BMS)及びバッテリー関連
- モジュールの開発・製造・販売
- 同モジュールを用いた電池システム等の開発・製造・販売
- 自動車関連コンサルティング
BMSとは
BMS:Battery Management System
BMSとは、リチウムイオン電池で構成された電池システムを安全に効率よく使うため、管理・制御機能をつかさどる重要なコンポーネンツである。
<BMSの主な機能>
- 電池セル保護機能
電池セルが安全に使えるように、充放電を制御する機能 - 充電残量(SOC:State Of Charge)算出機能
個々の電池セルの満充電時の容量に対する現在の充電残量を算出し、表示する機能 - バランシング(均等化)機能
直列接続された電池セルの充電残量を均等化する機能
<BMSの開発実績>
小型の蓄電システムから電動バスまで、幅広い用途においてBMSの豊富な開発実績あり。
開発プロジェクト
「リチウムイオン電池 モニタリング・プラットフォームの技術開発」
”経済性”と”資源の有効活用”の観点から重要となる車載用電池の再利用。そのためには、電池の使用履歴の管理と電池の性能保証が課題となる。この課題解決のために、再利用電池のモニタリング・プラットフォームを構築する。
「電池の再利用を前提とした電動バス・プロジェクト」
電池リユースの課題の一つは、電池システムを分解し次の用途向けに再パッケージ化するのに多大な手間とコストが発生すること。本プロジェクトでは、予め2次利用の用途を想定した小型パックを開発し、それを複数個つなげることで電動バス向けの電池システムを構成。すなわち、再パッケージ化の負担がない。
車両のEV化と再生可能エネルギーの導入に積極的な台湾のプロジェクト。48Vの小型パックを12個搭載することで、電動バスには約600Vの電池システムが構成される。48Vの小型パックは独立して稼働することができ、単体で別の用途に転用可能。電動バスで使用され、電池の能力が低下した場合には、小型パック単位で交換される。使用済の小型パックは家庭用電池、基地局用電池、または再生可能エネルギー用電池等としてリユースされる計画である。
沿革
- 2008年5月 電動車両技術開発株式会社設立
- 2010年5月 東京大学エッジキャピタルの支援企業(UTEC EIR)に選定され、東京大学アントレプレナープラザ内にオフィスを開設
- 2011年4月 BMS(プロトタイプ)1号完成、特装車に搭載し2年間実証
- 2012年7月 IEVE China2012(北京国際電動車展)に出展
- 同年9月 EVTD株式会社に社名変更
- 同年11月 中国上海市に上海翼飞天地電控科技有限公司(当社100%子会社)を設立、中国市場での本格営業開始
- 2013年11月 ドイツ市場向けにBMSを量産・販売開始
- 2014年4月 Auto China 2014(第13回 北京モーターショー)に出展
- 同年 可搬型電源システムを商品化、中国で限定販売(現在は終了)
- 2016年6月 台湾でBMSの量産開始
- 同年10月 アクティブ・セルバランサの市場評価開始
- 2017年4月 Auto Shanghai 2017(第17回 上海モーターショー)に出展
- 同年6月 NExT-e Solutions株式会社に社名変更
経営者プロフィール
代表取締役 井上真壮
取締役副社長CTO 中尾文昭
熊本工業大学 電子工学科卒業。崇城大学大学院工学系研究科 博士後期課程修了。 博士(工学)。電池と蓄電デバイスを有する電子部品メーカにて電源開発に従事。民生用小型電源、FA用高信頼性電源や、電源設計支援システム、電池利用技術等の開発を行った。
<執筆>
- 『パワーエレクトロニクスハンドブック』(共著)
出版社:オーム社 (2010/7/22)「バッテリー充電器用電源」p545~p551
<対外発表論文>
- 『電源用トランス及びその設計の現状』
日本応用学会誌 Vol.24, No. 4-2, 2000 p831~p834
共著者 松尾良夫、北岡幹雄 - 『非接触電力伝送用トランスの小型化技術』
日本機械学会 [No.01-251]第13回「電磁力関連のダイナミックス」シンポジューム講演論文集 [’01.6.21~23・千葉市] p165~p168
共著者 松尾良夫、北岡幹雄 - 『多直列電池システムにおけるコンバータを用いた高効率制御回路の開発』
第49回電池討論会 p342
共著者 中西正典 - 『Thin Surface Mounting type Inductor and its Application (High performance Inductor)』
The 2002 IEEE International Magnetics Conference (2002- 5)
共著者 K.Yamada,Y.Matsuo, M.Kitaoka, H.Sakamoto
(同社Webサイトを基に当社編集)