疾患iPS細胞を商業的に作成可能な国内唯一の企業。アカデミアと産業界の間でiPS 細胞関連事業を幅広くカバー
株式会社iPSポータル
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会社概要・事業内容
会社概要
アカデミアと事業会社の間に位置し、iPS 細胞関連事業について幅広い分野をカバーするポータル・カンパニー(玄関口)を目指し、平成26 年 7月 31日に京都市で設立。その後、9月1日にiPSアカデミアジャパン株式会社から特許ライセンス以外の事業の譲渡を受け、業務を開始。当社は、自ら創薬・再生医療を行わない企業として、iPS 細胞研究にチャレンジしている企業・研究者の成功確率を高めるインフラを提供する。隠れた iPS 細胞研究成果を発掘し、iPS 細胞技術の幅広い応用促進・事業化を加速することによって、世界最先端の iPS 細胞技術をいち早く研究者および患者に届けることを企業ミッションとしている。
当社は、アカデミアと産業界の間に立って、優れた再生医療・細胞医療あるいはiPS細胞の創薬応用に関するアカデミア技術シーズの事業化支援を進めており、アカデミア発ベンチャーへの関与としては、2015年6月に慶應義塾大学医学部眼科学教室(坪田一男教授、榛村重人准教授ら)発のベンチャー、株式会社セルージョンへの出資を行い開発のサポートを実施。慶應義塾大学の技術をもとに角膜水疱症の治療を目的とするiPS細胞を利用した角膜内皮再生医療の事業化を目指している。同社が関わるプロジェクトとしては既に基礎技術を構築し、現在は非臨床試験(ヒト臨床の前に動物で有効性、安全性を確認する試験)を進めている。
さらに2016年3月には、大阪大学免疫学フロンティアセンター教授兼京都大学再生医科学研究所客員教授の坂口志文先生と共同で、制御性T細胞を活用する新たな医療技術の実用化を目指すベンチャー企業、レグセル株式会社を設立。制御性T細胞の発見者である坂口教授が見出した知見をベースに、例えば制御性T細胞を活用して臓器移植時の拒絶反応を緩和する、または制御性T細胞をコントロールしてがんを治療するといった新たな医療技術の実用化を目指している。
基本理念
大学と企業、企業と企業を結ぶポータルカンパニーとして、iPS細胞培養から関連装置に至るまで幅広くカバーし、iPSテクノロジーの事業化を推進する。創薬開発、再生医療を効率的に進めるためのプラットフォームを提供することにより、創薬・再生医療分野の発展に貢献する。
沿革
iPSアカデミアジャパン株式会社の特許関係以外の業務の譲渡を受け、2014年9月から業務を開始。また、2016年2月、「血液由来特定研究用具製造事業」の国内初の国家戦略特別地域事業者として認定を受けた。現在、日本国内で患者の血液から樹立された疾患iPS細胞を商業的に作成可能な唯一の企業。
2017年4月に、国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンター(理研BRC)と疾患iPS細胞等の相互利活用に関する提携契約を締結。
事業活動
iPSテクノロジーの応用分野は広く、創薬研究から再生医療にまで及ぶ。当社は、自らがiPSテクノロジーを使って創薬開発や再生医療は行わないが、創薬や再生医療分野にチャレンジする企業に必要な用具やインフラを提供することにより、企業の研究開発効率を高め、成功へのサポートをする。患者由来の疾患iPS細胞を活用した新たな創薬プラットフォームを提供するのはその一例である。
提供サービス
「疾患iPS細胞 創薬支援サービス」
国家戦略特区事業で作製されiPSポータルに寄託された疾患iPS細胞と理研BRCに寄託された疾患iPS細胞を提供。遺伝子変異や病態のバリエーションを揃えた疾患iPS細胞から誘導した分化細胞を用いて、目的にあった分化誘導法を決定するためのサポートや分化細胞の作製を実施。また顧客先の化合物を用いて、遺伝子解析装置やイメージング装置、分析装置等を用いた創薬初期段階のスクリーニングにも対応。
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- 理研BRC疾患iPS細胞バンクとiPSポータル国家戦略特区疾患iPS細胞を相互補完
- 対象患者セグメントの層別化に必要な遺伝子変異や病態バリエーションを「パネル」化
- 疾患iPS細胞を使った創薬初期フェーズの研究をサポート
「創薬オープンラボ」
iPS細胞や分化誘導細胞、疾患iPSを用いた創薬アッセイ系のフィージビリティスタディが実施可能。顧客先の生命倫理委員会への簡素な手続きで細胞を用いた実験が可能。
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- ヒトiPS細胞を使用する実験環境を整えており、FACS、画像解析装置、マイクロプレートリーダー、遺伝子解析装置、質量分析計等を設置。これらの装置を組み合わせての実験やアッセイ系の構築を効率的に行うことが可能。
- 当社や理研BRCが提供する疾患iPS細胞、その分化細胞を使用して創薬アッセイ系のフィージビリティスタディを迅速に進めることが可能。
- 当社技術者から測定法等のアドバイスを受けることも可能。
「iPS細胞培養・分化誘導受託サービス」
iPS細胞の樹立から、分化誘導の論文再現実験や分化誘導細胞を用いた細胞アッセイ・スクリーニング試験を提供。顧客先が入手した理研BRC等の細胞バンクの疾患iPS細胞や当社に寄託されている疾患iPS細胞を用いた各種試験も実施可能。
「分析機器・試薬等評価受託サービス」
「iPSテクノロジー」と「事業化」の2つの視点からSSC(Solution Strategy Consulting)を実施。最大の特徴は、ウェットラボを持っていること。iPS細胞の技術研究の経験から得たメゾットを最大限に生かし、当社独自のソリューションを提案。各分野のスペシャリストがチームを組み、パートナーとして課題解決のための提案を行う。
「教育・研修サービス」
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- 臨床培養技能者養成研修
新たな再生医療社会へのコンセンサス形成に向けFIRM認定教育機関として細胞製品製造企業の様々な課題や、社会的ニーズに応える。細胞製品製造施設で製造業務に携わる専門的人材の育成として臨床培養技能者向けの研修を実施。 - iPS細胞研修
iPS細胞関連の新規ビジネスを検討中の企業、細胞培養の経験はあるもののiPS細胞の培養経験はない企業、或いは既にiPS細胞を使用している細胞培養担当者向けに、それぞれ基礎講座から体験研修、技術研修に至るまで、要望に合わせた研修期間、研修プログラムを用意。
- 臨床培養技能者養成研修
「iPS細胞ビジネス協議会」
iPS細胞を活用した再生医療や創薬を成長産業として育てていくために、この分野に関心の高いアカデミアの先生、装置・器具・培地・試薬等の企業、製薬企業、関連企業が集まり、iPS細胞に関連する技術動向、開発動向等、各社の事業開発に生かせる情報交換を中心とした活動を実施。
「大学発ベンチャー支援」
iPS細胞技術に関連する優れたアカデミアシーズの事業化を促進するため、ベンチャー企業立ち上げ段階から、そのシーズ実用化をサポート。
「WEBサービス iPS細胞活用ガイド」
「研究に役立つ機器・試薬の紹介」
経営者プロフィール
代表取締役社長 村山昇作
(同社Webサイトを基に当社編集)