独自の波動制御技術「HAGEN 波源」で、特定の人だけに聞こえる焦点スピーカーや自動追従する電動車いすを開発
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
画像取得先: http://pixiedusttech.com/
会社概要・事業内容
会社概要
音・光・電磁波等あらゆる波動を用いた場の制御及び視聴触覚表現の3次元化に係る研究開発を行う2017年5月設立のベンチャー。
独自の波動制御技術「HAGEN 波源」*をコアとして、デジタルファブリケーション、人工知能技術を用いたソリューションの共同開発等を実施。
*音・光・電磁波等のあらゆる波動によって計測・制御する技術
大学で研究された技術シーズを、事業会社と連携して社会実装し、少子・高齢化による労働人口の減少や障がい者の暮らしをより豊かにするといった社会課題の解決を目指す。
その基盤として、筑波大学内に共同研究を行う「デジタルネイチャー推進戦略研究基盤」を設立。新株予約権を引き換えにして当社に知財を100%譲渡するという独自の産学連携のモデルを構築し、圧倒的なスピード感で大学発技術の社会実装を可能にしている。
特定の人の耳元などに音を届ける焦点スピーカーや、遠隔操作や前方の車いすを認識して自動追従することが可能な電動車いすなど、エンターテインメント性の高い領域から社会課題に関する領域まで、幅広い分野の製品・サービスの開発に取り組んでいる。
社会に変革をもたらす技術シーズに対する研究開発を支援する「新エネルギー・産業技術 総合開発機構(NEDO) 」、「科学技術振興機構」などが助成するプログラムに採択。
また、経済産業省が推進するスタートアップ支援プログラム 「J-Startup」の対象企業として認定。
2019年に総額48.46億円の大型資金調達を完了。
テクノロジー
コア技術=当社独自の「HAGEN 波源」 (波動制御技術) について
現在私たちは、ディスプレイ画面から視覚情報を、スピーカーから聴覚情報を得ながら日々暮らしている。このような従来のインタフェースでは、視覚情報を得るためには画面に近づかなければならないという制約があったり、聴覚情報が周囲に漏れ聞こえてしまうという短所があったりする。これらを解決しながら空間を介した情報伝達を実現するため、当社は音・光・電磁波などの波動によって人を計測し、そして波動によって人に情報を伝える技術を開発。音・ 光・電磁波はそれぞれ異なる物理現象だが、抽象的には波動方程式として共通の理解の仕方をすることが可能。例えば光で生じる現象を音で再現することによって新たな用途が生まれることが期待できる。また光と音の物理現象としての違いを積極的に活用しながら適切な課題解決法を編み出す。例えばこれまでに、プラズマをもちいて空中に映像を描画したり、超音波を用いて空中に音源を配置したりしてきた。このような波動制御技術をコアに、空間のデジタル化を推進する。
事業内容
当社独自の技術である、音・光・電磁波などの波動制御技術「HAGEN 波源」をコアに、2つの事業を展開。
- プロダクトディプロイ型事業
独自の波動制御技術をコアに、企業と新製品や新サービスを共同開発。製品化・量産化することによって社会に新たな価値を届けることを目指す。 - 空間開発型事業
顧客企業が抱える課題の解決に向けて、空間を把握・制御するソリューションを開発。現場の課題抽出から取り組み、独自の波動制御技術を用いながら、現場の体験向上の実現を目指す。自動ロボットによる省人化など、現場の人手不足感が強い企業や高齢化で悩む企業と取組みを進行。
当社独自の技術例
「Pixie Dust(ピクシーダスト)」
超音波フェーズドアレイを用いた3次元音響浮遊技術。超音波制御によって物体を空中に浮かせて3次元的に動かすことができる。バイオやケミカルの実験、工場のなかでロボットアームを使わずに小さい部品を個別に持ち上げたり、医薬品や化粧水などの液滴をボトルまで搬送したりすることが可能。また、白い粒子を面状に配列することによって、空中に映像投影のためのスクリーンを設置するなど、エンタテインメントやアドバタイズメントへの応用可能性もある。
「Holographic Whisper」
超⾳波の焦点をつくることで何もない空中から⾳を発⽣させる⾳響技術。⾳の発⽣位置、再⽣する⾳声、ボリュームをうまく切り替えることで、誰に何をどこから聞かせるかを制御できる。映像の中で注意を向けたい⽅向から⾳声を聞かせたり、イベント会場の特定の場所を通ったときのみ情報を届けたりと、視覚情報や位置情報と連動した没⼊感の⾼い演出や、音量を絞ることで特定の人物にだけ音声を届けることが可能。これにより秘匿性の高い情報伝達や、周囲への音漏れに配慮したコミュニケーションなどが可能となる。さらに超音波焦点の位置を切り替えることにより、複数の人物にそれぞれ異なる音声を届けることもできる。
「SOUND HUG」
抱きかかえることで⾳楽を視覚と触覚で感じられる球体型デバイス。楽曲全体の⾳・特定の楽器の⾳をミックスして、球体に内蔵された振動スピーカーで再⽣することで⾳楽の振動を触覚で感じる事ができる。また、⾳楽に合わせて球体が発光する仕組みになっていて、振動だけでは伝わりづらい曲の旋律を視覚でも感じることも可能。⽿の⾃由・不⾃由にかかわらず、⾳楽を⾝体で楽しむという全く新しい⾳楽体験を提供している。⽇本フィルハーモニー交響楽団主催の「耳で聴かない音楽会」、ハードロックジャパン主催のコンサートにて導入。
「Leaked Light Field」
対象物体の表⾯に微細な⽳加⼯を施すことで⾃然な質感を持った素材にディスプレイとしての機能を付加する情報提⽰技術。従来のガラスやプラスチックで表⾯が覆われたディスプレイでは⾰や⽊材などの素材の凹凸を持った質感を再現するには限界があったが、これらの質感を持った素材に対して微細な⽳加⼯を施し、光の通り道を作ることにより表⾯素材の質感を損ねずに情報の表⽰を可能にした。表⾯素材の選択の幅が広がることにより、ディスプレイを使⽤したプロダクトデザインの可能性が拡大。また、「Leaked Light Field」で作られたディスプレイでは、視点位置に応じて表⽰内容を動的に変更することが可能。ディスプレイを右側から⾒ている⼈には時間を表⽰し、左側から⾒ている⼈には天気予報を表⽰するなど、同時に異なる情報を異なる⼈に提⽰することができる。この機能を応⽤して、裸眼での⽴体視も実現可能である。
「xWheel」
市販の車椅子に後付けで自動運転化ユニットを搭載することで、車椅子の利用者がボタンや音声操作で好きなときに好きな場所に行くことができるという車椅子の自動運転技術。車椅子の利用者の利便性向上と介護士の移動介助に関わる負担軽減を目指す。近時、日本の介護士不足の状況において、介護現場ではカメラを用いた見守り機能の強化やセンシング技術の導入によって、人手不足を解消しようとしている。「xWhee」lでは介護現場での「移動」に着目。車椅子に搭載したセンサーと施設に設置したセンサーで車椅子の安全を2重3重に確認し、安全走行を行う。※2019年時点、介護施設において実証実験中
経営者プロフィール
代表取締役CEO/共同創業者 落合陽一
1987生、メディアアーティスト。2015年東京大学学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の短縮終了)、博士(学際情報学)。日本学術振興会特別研究員DC1、米国MicrosoftResearchでのResearchInternなどを経て、2015年より筑波大学図書館情報メディア系助教デジタルネイチャー研究室主宰。同年PixieDustTechnologies,Inc。を起業しCEOとして勤務。2017年よりピクシーダストテクノロジーズ株式会社と筑波大学の特別共同研究事業「デジタルネイチャー推進戦略研究基盤」基盤長/准教授。筑波大学学長補佐、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学客員教授を兼務。専門はCG、HCI、VR、視聴触覚提示法、デジタルファブリケーション、自動運転や身体制御。研究論文は分野の最難関国際会議であるACMSIGGRAPHやACMUIST、CHIなどに採択されている。著書に「魔法の世紀(Planets)」「これからの世界をつくる仲間たちへ(小学館)」「超AI時代の生存戦略(大和書房)」など。2015年米国WTNよりWorldTechnologyAward2015、2016年ArsElectronicaよりPrixArsElectronica、EU(ヨーロッパ連合)よりSTARTSPrizeを受賞、欧州最大のVRの祭典LavalVirtualよりLavalVirtualAwardを2017年まで4年連続5回受賞している。他にも、AsiaDigitalArtAward、ACEとSpringer、ACMAugmentedHumanよりBestPaperAward、2012年にはNewscientist誌が選ぶベスト研究ビデオ、2014年にはCGChannelの選ぶBestSIGGRAPHPaperに選ばれた。これまでにBBC、CNN、CNBC、Discovery、AP、ロイター、デイリーメール紙、テレグラフ紙、ロシア国営放送、フランス国営放送などに特集され、世界中100以上の有名新聞、雑誌、テレビ、Webメディアに取り上げられた。国内でもグッドデザイン賞や文化庁メディア芸術祭、経済産業省InnovativeTechnologiesなどに入選。総務省より異能vation、情報処理推進機構よりスーパークリエータ/天才プログラマ認定。個展として「ImageandMatter(マレーシアクアラルンプール、2016)」や「ImagoetMateria(東京六本木、2017)」など。デザイン誌Axisやメディアアートの論文誌Leonardoなどのデザインアート系雑誌の表紙や、英国Nature誌の増刊研究調査報であるNatureIndex2017の表紙を飾るなど、国内外を問わず雑誌テレビラジオなどメディア露出も多数。国内外の大学やTEDxTokyoなどシンポジウムでの講演も多く、半導体技術の大規模カンファレンスであるSEMICONJapanでは40年の歴史の中で史上最年少で基調講演を務めた。グループ展では「ArsElectronicaFestival」「SIGGRAPHArtGallery」、「県北芸術祭」や「MediaAmbitionTokyo」などに参加。過去にSekaiNoOwariやDomPerignon、Lexus、TDK、ONEOKROCK、カナヘイ、SwordArtOnline劇場版などの作家やアーティスト、ブランド、イベントなどでコラボレーション作品の制作や演出を手掛け、トヨタアイシン精機デンソーBMW富士通SSL電通博報堂ADKなど多くの事業者との制作研究開発を行なっている。
http://yoichiochiai.com/
取締役CRO/共同創業者 星貴之
1980年生まれ。超音波技術の専門家。2003年東京大学工学部計数工学科卒。2005年同大大学院修士課程了。2008年同大大学院博士課程了。博士(情報理工学)。日本学術振興会特別研究員DC2/PD、熊本大学助教、名古屋工業大学特任教員(テニュア・トラック助教)、東京大学助教を経て、2017年ピクシーダストテクノロジーズ株式会社CTO就任、2018年同社CRO、現在に至る。2008年に世界初の超音波による空中非接触触覚提示装置の開発に従事。その後、強力超音波の応用開拓に興味を持つ。オープンイノベーションを促進するため、農業、工業、医療、計測、HCI、メディアアートなど分野を超えた共同研究を幅広く展開。共同研究先としては東京大学、京都大学、慶應義塾大学、筑波大学、宇都宮大学、日本医科大学、一関工業高等専門学校、産業技術総合研究所、株式会社新川、など。成果物はArs Electronica Festival、SIGGRAPH Emerging Technologies、文化庁メディア芸術祭などで実演展示された。SICE Annual Conference International Award(2007)、超音波シンポジウム奨励賞(2013)、文部科学省NISTEP科学技術への顕著な貢献(2014)、名古屋工業大学職員褒賞(2015)、ほか受賞多数。
http://hoshistar81.jp/index_j.html
(同社Webサイト、同社Wantedlyおよび同社PR TIMES掲載情報を基に当社編集)