独自の長鎖DNA合成技術で、バイオインダストリー、医学・生物学分野への貢献を目指す神戸大学発ベンチャー
株式会社シンプロジェン
画像取得先: https://www.synplogen.com/
会社概要・事業内容
会社概要
日本政府の支援を受け、10年以上開発を続けてきた独自のDNA合成技術を結集させた神戸大学発のスタートアップ企業。神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科 柘植謙爾特命准教授、近藤昭彦教授らが、経済産業省、及び国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの研究助成を受けて開発した、世界最先端のゲノム合成技術の事業化を目指し、神戸大学の教員らによって2017年2月に設立された。
最先端の遺伝子工学、情報科学、ロボット工学を駆使することで、従来の技術では合成が困難であった、長くて複雑なDNAをより低コスト、高速に合成するための技術を保有している。
2019年4月には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの研究助成を受けて開発された、合成難易度の高い配列を含む二本鎖DNAを合成する技術についても、神戸大学から技術移転を受け、より一層技術基盤を強化した。
2018年9月、微生物を用いたクモ糸タンパク質生産、及びその線維化技術の開発に取り組んでいる慶應義塾大学発の有力スタートアップ企業であるSpiber株式会社を引受先とする総額1億円の資金調達を行い、同時に戦略的パートナーシップを締結。研究開発、及びDNA合成事業の加速化を図った。
2019年5月、株式会社ジャフコを引受先とする第三者割当増資により、総額10億円の資金調達を実施。これにより、2020年春を目標に、神戸医療産業都市を標榜する神戸市のポートアイランドに、長鎖DNA合成を目的とした、国内初かつ世界最先端の本格的な商業用ラボを立ち上げる。まずは内外のクライアントに広く長鎖DNA合成サービスを提供していくことから始め、さらにはバイオインダストリー分野やライフサイエンス分野において、幅広く事業展開を図っていく。
事業内容
- ゲノム合成技術に係る研究および開発等
テクノロジー
長鎖DNA合成技術(Long chain DNA synthesis)
当社はユーザーが望む通りの「正確」で「長鎖」のDNAを「低コスト・短期間」に合成するDNA合成技術を保有。枯草菌を用いることを特徴とする本技術「OGAB法」は、最大50からなるDNA断片をワンステップで結合し、現状では~100kbの長鎖DNAを極めて高い成功確率で取得することが可能。また、数十の遺伝子からなる遺伝子回路の設計や、遺伝子治療を目的とした正確かつ長鎖のDNAを提供する。
コンビナトリアルDNAライブラリー合成技術
OGAB法を応用することで、組合せ論的に長鎖のDNA配列パターンを創出することが可能。本技術を用いることで、無数の遺伝子回路の中から最適なDNA配列を高速にスクリーニングすることが可能になる。
既存の有用物質生産微生物のさらなる生産性向上や、これまで合成が困難とされた天然系化合物の合成微生物の開発に、大きな力を発揮する。
インテリジェント・オートメーション
生命科学は情報科学、ロボティクスと融合することで革新が起こる。当社は作業者の技能に左右されない品質の担保、及び人間では到底できないスループットの実現を目指し、実験自動化ロボットの開発に取り組んできた。ロボットが実行した実験結果は全てデータベース化され、それが機械学習に用いられることで、DNA合成時のDNA分割領域の設計や合成反応条件の最適化に生かされる。これらを循環させることで、より少ない労力でより大きなアウトプットを実現することが可能になる。
貢献できる産業
バイオインダストリー分野
医学品、化粧品、バイオ素材、汎用化学品などの有用物質を微生物生産する際には、時には数十の遺伝子からなる長鎖DNA(数万塩基対以上)の遺伝子回路を合成することが求められる。それらの構築を支援し、有用物質生産株の高速育種を実現する。
医学・生物学分野
人間を対象とした遺伝子治療は現実のものとなりつつある。遺伝子治療及びその研究開発を目的とし、時に数万塩基対からなるヒト遺伝子をコードした長鎖DNAの構築、又は疾患モデル動物作成のためのDNA構築を実現する。
提供サービス
長鎖DNA受託合成サービス
OGABを用いて最大100kbの長鎖DNAを受託合成する。
コンビナトリアルDNAライブラリー受託合成サービス
Combi-OGABを用いて組合せ論的にパターン創出したDNAライブラリーを受託合成する。
有用物質生産微生物の開発支援サービス
OGABやCombi-OGABを用いて遺伝子回路を設計・合成し、有用物質生産微生物の開発を支援。
経営者プロフィール
代表取締役 菅原潤一 (PhD)
2007年に慶應義塾大学環境情報学部卒業後、2011年に同大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了(博士号取得)。専門は生命情報科学。2007年にSpiber株式会社を共同創業し、取締役に就任(現任)。2018年9月より現職。
取締役 近藤昭彦 (PhD)
1983年に京都大学工学部化学工学科卒業後、1988年に京都大学大学院工学研究科化学工学専攻博士課程単位取得満期退学(博士号取得)。その後、2003年神戸大学工学部教授等を経て、2016年4月より神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科長(現任)。2017年2月にSynplogen社を創業設立、取締役に就任(現任)。
取締役 柘植謙爾 (PhD)
1993年に埼玉大学工学部環境化学工学科卒業後、1998年に東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了(博士号取得)。三菱化学生命科学研究所特別研究員、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任講師を経て2016年4月より神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科特命准教授(現任)。枯草菌を用いた巨大DNAの操作法の開発の過程で、多重遺伝子集積法(OGAB法)を発明した。2017年2月にSynplogen社を創業、取締役に就任(現任)。
(同社Webサイトおよび同社PR TIMES掲載情報を基に当社編集)