世界初!通信用の電流無調整量子ドットレーザの開発・量産に成功。民生用網膜走査型レーザアイウェアの発売も
株式会社QDレーザ
画像取得先: https://www.qdlaser.com/
会社概要・事業内容
会社概要
量子ドットレーザ技術の事業化を目指す先駆者として、2006年4月、富士通株式会社と三井物産株式会社傘下のMitsui & Co. Global Investment, Inc.(設立当時:株式会社エム・ヴィー・シー)の出資で富士通からのスピンオフベンチャーとして設立。株式会社富士通研究所と東京大学との10年以上にわたる産学連携による共同開発を基に、可視光領域から波⾧1300nm帯までの量子ドットレーザをはじめとする高性能の半導体レーザの開発・製造・販売を行っている。
通信・産業・医療・民生用の広い分野で新しい半導体レーザソリューションを提供。これまでに、世界で初めて通信用の電流無調整量子ドットレーザの開発と量産に成功するとともに、精密加工用ピコ短パルスDFBレーザ、生命科学用の電流注入型緑・黄緑・橙色レーザ、シリコン光回路用の量子ドットレーザアレイ、眼科検査機器用の広帯域利得チップ、そして、網膜走査型レーザアイウェア等の独創的な製品を次々に生み出してきた。
網膜走査型レーザアイウェアの技術は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるクリーンデバイス社会実装推進事業、平成27年度課題解決型福祉用具実用化開発支援事業等の支援を受けながら開発を続けてきた。2018年に民生用網膜走査型レーザアイウェアである「RETISSA®Display」の販売を世界で初めて開始。
当社は”光で世界は進化する”という理念のもとに、新しい市場を創出する最先端の半導体レーザ企業として成長を続けている。革新的で高信頼の当社製品を活用することによって、ビジネスの発展に寄与し、みなさまの生活を安全で豊かなものにし、世界の幸福と平和に貢献することを目指す。
プロダクト
◆加工
「1030-1180nm DFBレーザ」
QLD1x6xシリーズは、波長1030nm~1180nmの高出力単一モードDFBレーザ。パッケージは標準的な14pinバタフライタイプで、光アイソレータ内蔵、偏波保持ファイバ(PMF)を使用。スペクトル安定性に優れ、CWから短パルス(ピコ秒、ナノ秒)まであらゆる条件において動作可能で、加工用ファイバーレーザの種光として最適。ゲインスイッチ動作により50ピコ秒、高速タイプでは15ピコ秒の光パルス発生可能で、ファイバーレーザの加工性の更なる改善が期待できる。また50ピコ秒、15ピコ秒、ナノ秒、DFB-SOA用、CW等の各種ドライバドライバボードを提供している。
◆通信
「1240 – 1300 nm 量子ドットレーザ」(高温用量子ドットレーザ含む)
量子ドッドレーザQLF133x, QLF131x, QLD133x, QLD131xシリーズは、量子ドット技術をベースとしたGaAs上1300nm半導体レーザ。データ通信用として既に360万台出荷実績あり。100℃以上での通信用の製品も取り揃えている。150-200℃の超高温下でも量子ドットレーザは動作可能で、プラント、地下資源探査等の特殊用途にも対応可能。また、量子ドットレーザは高温度での安定した特性、反射戻り光耐性に優れ、Siフォトニクス用光源として最適である。
「GaAs基板上エピタキシャルウェハ」
様々な光デバイス・電子デバイス用途に、分子線エピタキシー(MBE)装置を用いた GaAs基板上の高品質エピタキシャルウエハを販売。要求に応じてカスタマイズしたウエハを提供する。量子ドットウエハには、温度依存性の小さいデータ通信用レーザや、200℃以上の高温度環境で動作するレーザで実証されている世界最高水準の量子ドット技術を適用。また、Siフォトニクス用半導体レーザのウェハもカスタム対応可能。成長可能層はGaAs基板上にInAs量子ドット、InGaAs量子井戸、GaAs, AlGaAs。
◆センサ
「532 – 594 nm 小型可視レーザ」
QLD0593シリーズは、DFBレーザと波長変換素子を使用した波長532, 561および594 nmの小型可視光レーザ。本レーザは、内蔵する半導体レーザにより高速変調動作が可能で、また安定性にも優れている。GaAsベースの半導体レーザを用いているため低消費電力を実現。製品は、独自設計した小型パッケージにて提供。要求に合わせてファイバピグテールタイプも供給可能。バイオメディカル用のフローサイトメータや顕微鏡、分光等のセンサアプリへ適用も可能。
「640 – 940 nm 高出力FPレーザ」
QLF063x-QLF09xシリーズは、波長640, 660, 785, 830、905および940nmの高出力ファブリペローレーザ。パッケージはTO-CAN(TO56)タイプでモニタPDを内蔵。配線はアノード/カソードタイプの2種類を用意。本レーザは、主に産業用途をターゲットにしており、マシンビジョン、水準器 パーティクルカウンター、各種センサーに最適である。
◆アイウェア「RETISSA® Display」
新たなAR体験、スマートグラスは光で進化する。網膜に直接映像を照射することで、今までにない鮮明な映像を実現。
従来のスマートグラスは映像部分を注視すると背景のピントがずれ、逆に背景を見ると映像がぼやけてしまうという問題点があった。この課題を「RETISSA® Display 」は、鮮明な映像を網膜に直接投影して解決。目で“見る”のではなく、見たいものが目に“映る”全く新しい方式で、映像と背景の両方を同時にクッキリ見ることができ、ARの実現に最適である。
<3つの特徴>
- 視力やピント位置に影響されにくいフリーフォーカス
超小型プロジェクタからの微弱なレーザ光は瞳孔の中心でいったん収束し、網膜へと投影。この方式は、眼のレンズである水晶体の状態に影響を受けにくいことから、視力やピント位置に関係なく、眼鏡やコンタクトレンズをしていなくてもボケのない映像を見ることが可能。 - ユニバーサルデザインを志向した小型軽量の投影部
独自開発した投影光学系を採用することで、プロジェクタを極限まで小型化し、フレームの内側に搭載することに成功。通常の眼鏡やサングラスと同様に、突出部がなく違和感の小さいデザインとすることで、誰もがいつでもどこでも使えることを目指す。 - ピントずれがおきない拡張現実(Augmented Reality:AR)
目に映っている風景の上に、デジタル映像を直接上書きすることが可能。従来の仮想スクリーン方式では生じがちな実風景と投影映像のピントずれが、原理的に起こらない。「見る」行為を妨げることなく、視界にデジタル情報が融合する、新しい体験が可能となる。
経営者プロフィール
代表取締役社長 菅原充
<経歴>
- 1984年 東京大学大学院物理工学修士課程修了、同年株式会社富士通研究所入社
- 1995年 株式会社富士通研究所光半導体研究部主任研究員、東京大学工学博士
- 1999年 東京工業大学大学院電子機能システム専攻客員助教授 (兼務)
- 2001年 株式会社富士通研究所フォトノベルテクノロジ研究部長
- 2004年 東京大学生産技術研究所特任教授
- 2005年 株式会社富士通研究所ナノテクノロジー研究センター センター長代理
- 2006年 株式会社QDレーザ代表取締役社長(現職)
<受賞歴>
- 2006年10月 Technology Innovation Awards Runners-Up, “Quantum-dot lasers for optical communication using nano-size semiconductor particles as light emitters”, The Wall Street Journal
- 2008年4月 文部科学大臣表彰 科学技術賞 研究部門 「光通信用量子ドットレーザの研究」、文部科学省
- 2008年6月 産学連携功労者表彰 内閣総理大臣賞、「フォトニックネットワーク技術の開発及び大学発・カーブアウト型ベンチャー設立」、産学官連携推進会議
- 2009年6月 IEEE Spectrum Special Technology Issue Winner Award
- 2010年9月 第4回応用物理学会フェロー表彰
- 2010年10月 経済産業大臣賞(グリーンITアワード2010)
- 2012年4月 レーザー学会産業賞優秀賞 “通信用半導体量子ドットレーザ”
- 2014年10月 IEEE Photonic Society Aron Kressel Award, “For pioneering contributions to the development of temperature-insensitive quantum dot lasers, and their commercialization and mass-production for optical communication systems”.
- 2016年3月 第1回 JEITAベンチャー賞
- 2016年10月 CEATEC2016 経済産業大臣賞、米国メディアパネル・イノベーションアワード グランプリ
- 2016年11月 第16回 山﨑貞一賞 “通信波長帯量子ドットレーザの高性能化とその実用∙量産化”
- 2017年2月 米展示会Photonic West2017 PRISM AWARDS Winner
- 2017年4月 WIRED Audi INNOIVATION AWARD 2017
- 2018年2月 QDレーザの「高温度特性半導体量子ドットレーザの開発および実用化」が第33回櫻井健二郎氏記念賞を受賞しました
- 2018年10月 RETISSA® Displayが日経 xTECH EXPO AWARD 2018 準グランプリに選ばれました
- 2019年2月 RETISSA® DisplayがPRISM AWARDS 2019を受賞
(同社Webサイトを基に当社編集)