世界初、綿形状の人工骨充填材「ReBOSSIS」を開発。マイクロファイバー技術で再生医療に貢献。米国で販売開始
ORTHOREBIRTH株式会社
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会社概要・事業内容
会社概要
設立以来、一貫して人工骨(骨充填材)の研究開発を進めているベンチャー。
特許である世界初の綿形状の人工骨は、容易にさまざまな形状・サイズに成形可能で高いハンドリング性を持つ事に加え、自己の骨に置き換わる吸収置換性を持ち、既存の他社製品との差別化が図られている。
高齢化が進み、骨疾患に悩む患者が少なくない日本では、骨や関節の手術が増える傾向にあり、それに伴って骨・関節の手術部位の細菌やウィルスによる感染を防止することが重要になってきた。当社は、明治大学、名古屋工業大学、慶應義塾大学と共に抗菌性綿形状人工骨充填材の共同開発をスタート。「耐感染性と優れた形状・サイズ加工性を兼ね備えた抗菌性綿形状人工骨充填材の開発」の実用化を目指す。
人工骨充填材「ReBOSSIS(レボシス)」の基礎技術は名古屋工業大学の春日敏宏教授率いる研究グループによって開発された。2011年に研究開始、当初は歯科医療におけるインプラント対応の人工骨として考案された。この名工大の技術を受け継いだ当社が、さらに改良を重ねて現在の「ReBOSSIS」を完成。
さらに「ReBOSSIS」を生んだマイクロファイバー製造技術を応用して、さまざまな研究を実施。
生体吸収性が高いこと、マイクロメーター単位の極めて細い繊維のかたまりが足場材(スキャフォールド)として最適であること。この二つの特徴を生かした幹細胞培養基材シートの製品化や、Β-TCPを含むレボシスと特殊なタンパク質を融合させた骨再生を促す創薬の開発を進めており、再生医療分野に貢献。また、薬剤を練りこんだ綿状物を使うドラッグ・デリバリー・システム(DDS)の研究も継続中で、当社のマイクロファイバー製造技術はさらなる広がりを見せている。
「ReBOSSIS」のメインマーケットはアメリカ合衆国。2015年2月に販売を開始してから、外傷および脊椎領域での整形外科手術で使用されている。ハンドリングの良さと骨形成能の高さにおいて多くの医師より高評価を得ている。もちろん、アメリカのみならず他の地域においてもレボシスの販売を計画。国内では臨床試験を開始。海外についてはヨーロッパ、ロシア、東欧、台湾での展開を予定しているが、市場規模の大きいヨーロッパ(EU)で販売するためのCEマーキングの認証取得を準備中である。
事業概要
- 医療機器・医療用消耗品等の研究開発・販売・製造及び修理
- 医薬品・医薬部外品・工業薬品等の販売 その他
プロダクト
画期的な人工骨充填材「ReBOSSIS(レボシス)」
当社が開発した「ReBOSSIS(日本名:レボシス)」は綿みたいな人工骨充填材。世界初の綿(わた)形状であることと、生体吸収性に優れるβ-TCP(β-リン酸三カルシウム)、PLLa(ポリ乳酸)、骨形成を促進させるSiV(ケイ素含有炭酸カルシウム)を主成分としているのが最大の特長。綿形状なのでブロック状の人工骨のように、欠損した骨の部位に合わせて加工する必要もなく、また、充塡部からこぼれ落ちる可能性のある顆粒状人工骨に較べても扱いがとても容易。このハンドリングのよさに加えて、弾力性と復元力を備えていることも既存の人工骨との大きな違いである。弾力性と復元力のある「ReBOSSIS」は、どの部位でも、どのような大きさの欠損部であっても短時間で確実に充塡できる。そのうえ収まりがよく脱落も起きず、治癒後には充塡材全体が自身の骨と置き換わる。
※「ReBOSSIS」は米国FDAの認可を取得済みだが、薬事法未承認のため、日本国内での販売・譲渡は不可。
レボシスQDS(ReBOSSIS QDS)
綿形状の人工骨充填材、レボシスから派生した製品。QDS(キューディーエス) はQuick Delivery Systemの略語で、文字どおりレボシスを患部に素早く容易に充填できるようにしたもの。シリンジを介して深く狭い患部、通常の方法では充填しにくい患部にレボシスを詰めることができる。製品は0.25g(2cc)のレボシスを封入したシリンジ2本入り。米国でのみ販売。
研究用幹細胞抽出培養シート
幹細胞を抽出・培養するためのシート。この細胞培養シートは沖縄県の助成金を受けて琉球大学と共同で開発したもので、当社の人工骨充填材レボシスを生んだマイクロファイバー製造技術をもとにした生体吸収性ポリマーを主成分とする繊維状物がベース。本シートを用いることで、容易に且つ低コストで幹細胞を抽出・培養することができるだけでなく、生体吸収性の3次元組織再生足場材としても機能する。
製品化された幹細胞抽出培養シートは「研究用」だが、当社は再生医療を身近なものにするためにきわめて重要な幹細胞を抽出培養する技術をさらに磨いていく計画である。将来的には、骨の大欠損部の治療、中枢神経麻痺の治療、乳房の再建、臓器の再生といった再生医療に貢献できるよう、さらに研究を進めていく。
主な受賞歴
2017年8月 大学発ベンチャー表彰2017にて「日本ベンチャー学会 会長賞」受賞
経営者プロフィール
代表取締役社長 西川靖俊
(同社Webサイトを基に当社編集)