キナーゼ(リン酸化酵素)を標的とし、神経変性疾患治療薬の研究開発を行う京大発の開発型バイオベンチャー
株式会社キノファーマ
画像取得先: http://www.kinopharma.com/
会社概要・事業内容
会社概要
創業科学者である萩原正敏博士(京都大学大学院医学研究科教授)のアカデミア研究で発見された、リン酸化酵素阻害剤の臨床応用を中心とした事業化を行うために設立された、大学発の開発型バイオベンチャー。
キナーゼ(リン酸化酵素)を標的として、ウイルス性のイボ(尋常性疣贅)、流行性角結膜炎、子宮頸部上皮内腫瘍、B型肝炎など、多様なウイルス性疾患を対象とした新規低分子治療薬及びアルツハイマー病などの神経変性疾患治療薬の研究開発に取り組んでいる。
キノファーマ(KinoPharma)は、「Kino」:「リン酸化酵素の総称」、「Pharma」:「創薬」という社名の由来から推測できるように、リン酸化酵素を標的として、治療の難しい難治性疾患に対して臨床薬を開発すべく設立された。
当社は設立の直後より、大学との共同研究契約に基づく密接な研究開発に取り組み、萩原氏がこれまで蓄積してきたリン酸化酵素阻害剤研究のノウハウを活用し、副作用の少ない臨床薬の開発を目指すと共に、大学で見出された魅力的なシーズや、萩原氏らが特許化した最先端研究成果を社内へ導入し、リン酸化酵素を標的とした、ウイルス性疾患、神経変性疾患のような難治疾患治療薬の開発に取り組んでいる。
京都大学大学院医学研究科形態形成機構学をはじめとするアカデミアとの共同研究より、子宮頸がんの原因となるパピローマウイルス感染などのウイルス性疾患、アルツハイマー病などの中枢神経系疾患など根本的な治療薬のない疾患に対して医薬品の開発・提供を目指し、その一環として、ウイルス性イボなどに対しての医師主導治験を継続的に支援している。
事業内容
- タンパク質リン酸化酵素(キナーゼ)を標的とした、新規低分子臨床薬の研究開発・提供
経営者プロフィール
代表取締役社長CEO 黒石眞史
ウォーターベイン・パートナーズ元代表取締役。2006年より当社社外取締役、2010年12月代表取締役就任。多くの国内バイオテック(オンコセラピーサイエンス、ヒュービットジェノミクス、アネロファーマサイエンスほか)の立上げの実績を有する。元・JST/STARTプログラム・プロモーター。MBA
代表取締役COO 小野木博
CREST研究員、NEDO研究員を経て、2003年東海大学総合医学研究所 黒川研究室・特任助手。2005年にキノファーマ設立・代表取締役就任。以来、当社創薬プログラムの研究開発責任者として基礎から開発までにかかわる。
創業研究者 萩原正敏
三重大学医学部在学中にTCV-3B(脳循環改善薬カランとして武田薬品より上市)の血管弛緩作用機構を解明して以来、シグナル伝達の研究に携わる。それ以後も名古屋大学医学部やソーク研究所(カリフォルニア)において、転写因子CREB結合蛋白CBPの発見など、世界の先端的研究をリード。当社が開発を目指すリン酸化酵素を標的とする薬剤に対しても、30年以上の間、積み重ねた研究経歴による成果である。
リン酸化酵素阻害を主作用とする世界で最初の臨床薬「エリル」(くも膜下出血の特効薬として旭化成より上市)の開発に貢献。また、H-7、H-8、KN62、H-89、CKI7など「エリル」以外にも数多くのリン酸化酵素阻害剤の開発や作用機構解明に大きな役割を果たしている。
近年では、TG003やSRPIN340などのRNA結合蛋白リン酸化酵素の特異的阻害剤を創製して選択的スプライシングの制御と機能解析を可能にするといった最先端の研究成果を挙げ、世界中に共同研究者のネットワーク網を構築。また、前職の東京医科歯科大学教授および東京大学ライブラリー機構客員教授として、mRNAプロセシングなどの分野において内外のアカデミアで高い評価を得ている。さらに、「ケミカルバイオロジー」という新しい研究分野の確立に尽力し、現在、日本ケミカルバイオロジー学会(JSCB)および国際ケミカルバイオロジー学会(ICBS)の会長を兼務。
現在、京都大学医学部形態形成機構学講座教授として先端分野への休むことのない追及をしている。
(同社Webサイトを基に当社編集)