世界で初めて太陽電池セルや電子機器の配線・電極を形成する銅ペーストの量産化に成功!東北発ベンチャー
株式会社マテリアル・コンセプト
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会社概要・事業内容
会社概要
“卓抜した技術と持続可能な未来を架橋すること”を使命とし、Cuペーストの事業化を目標に2013年4月に設立された、東北発ベンチャー。
太陽電池セルや電子機器の配線・電極を形成する銅ペーストの量産化に、世界で初めて成功。
現在、太陽電池セル表面の配線・電極の形成にはAgペーストが使用されているが、セルの材料コストの約3割を占めるというAgペーストは、その96%がAg粒子。Agは元々、高価な上に価格変動が起きやすいという難点を抱えており、そのため、Agとほぼ同等の導電性をもち、原料コストが1/100という安価なCuを原材料とするペーストの開発が模索された。しかし「CuがSi中に拡散して太陽電池セルの特性に影響を与える」、「Cuが焼成時に酸化して、抵抗値が高まる」などの大きな課題があり、実用化への大きな障壁となっていた。
当社と産学連携を行う小池研究室(東北大学大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻)では、SiウェハーとCu配線の間に拡散バリア層を形成するとともに、Cuペーストの酸化を防ぐ焼成条件を発見。世界の名だたるメーカーが20年以上取り組んでも成し得なかった実用化への先鞭を付け、Agペーストを代替するCuペースト/バリア、その量産化技術を確立した。
製品・技術特性
- Cuペースト(特許取得済)
Cuの価格はAgの約1/100、廉価なCuペーストの導入により、価格競争力を持つ製品づくりが可能。低温焼成プロセスにより、製造時の電力コストを低減できる。 - 多機能界面層材料(特許取得済)
・Cuと基板との導電性/絶縁性を制御可能
・優れた密着性(基盤:ガラス、水晶、Al2O3、AlNなど)
・Cu/Si間の拡散バリア性 - 優れた導電性
電気抵抗率は、従来のAgペーストと同等かそれ以下の値が得られる。 - 発電効率アップ(太陽電池)
印刷配線幅を60μm以下に制御可能、シャドウロスを改善。 - 従来の製造工程との親和性(電子部品)
電子回路形成工程を変えることなく原材料代替(Cuペースト/バリア)ができる。
受賞歴
- 2018年8月 大学発ベンチャー表彰2018 文部科学大臣賞 受賞
- 2018年5月 CTO小池氏が本多記念会 本多フロンティア賞を受賞
- 2018年3月 CTO小池氏が日本金属学会 増本量賞を受賞
沿革
- 2011年3月 東日本大震災
- 2011年4月 小池研究室(東北大学)が銅ペーストの研究開発に着手
- 2012年5月 文科省新産業創出事業STARTに採択
- 2012年11月 「PVSEC(太陽光発電国際会議)」にて講演
- 2013年2月 「PV EXPO2013-第6回〔国際〕太陽電池展」に出展
- 2013年4月 (株)マテリアル・コンセプト設立
- 2013年8月 「ダイムラー・日本財団 イノベーティブリーダー基金」に採択 /「イノベーション・ジャパン2013」にて講演
- 2014年2月 産業革新機構、大和企業投資が3億円出資(資本準備金を含む)
- 2014年5月 「イノベーション実用化ベンチャー支援事業(NEDO)」に採択
- 2015年3月 「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業(NEDO)」に採択
- 2015年12月 「平成27年度 新エネルギーベンチャー技術革新事業(NEDO)」に採択
- 2016年9月 「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)」に採択
- 2016年10月 フィデル・パートナーズ、大和企業投資、31VENTURES Global Innovation Fund 1号*が3.5億円出資(資本準備金を含む)*三井不動産のコーポレートベンチャーキャピタルファンドで、グロー バル・ブレインが運営
- 2018年6月 JX金属株式会社が5億円出資
- 2019年6月 J-startupに採択
経営者プロフィール
代表取締役 小池美穂
1996年から14年間、政府系機関にて大学等の技術を事業化する部門の事務参事、コーディネーターとして活躍。2006年合同会社先端配線材料研究所を設立(共同発起人)。2010年東京大学発ベンチャーに入社後、取締役として企業間連携、経営企画、営業および工場立上げを統括。2013年(株)マテリアル・コンセプトを設立し、代表取締役に就任。
取締役(最高技術責任者) 小池淳一
東京工業大学工学部金属工学科、東京工業大学理工学研究科金属工学専攻(修士課程)、米国ノースウエスタン大学大学院工学研究科材料科学(博士課程)修了。博士Rh.D. 米国アルゴンヌ国立研究所、ロスアラモス国立研究所、オレゴン州立大学助教授を経て2005年より東北大学教授。LSI 多層配線向けに開発した新規銅合金は、世界最大手の半導体チップ製造企業グローバルファウンドリーによって量産され、Appleやサムスン電子を始めとする世界主要半導体メーカーに採用されている。
(同社Webサイトを基に当社編集)