独自デバイスとAIにより、尿検査によるがんの「無痛・高精度・早期」診断技術を開発する名古屋大学発ベンチャー
Icaria 株式会社
画像取得先: https://icariacorp.com/
会社概要・事業内容
会社概要
「人々が天寿を全うする社会の実現」をミッションとし、尿検査によりがんを早期発見する技術を開発する名古屋大学発ベンチャー企業。
2018年5月の創業以来、尿検査によるがんの「無痛・高精度・早期」診断技術の開発に取り組んでいる。
日本が誇る素材力を用いて生体分子を捕捉し、AI(人工知能)を組み合わせて医療に応用することで、わずか一滴の尿から、高精度でがんを早期発見する、全く新しいがん検査を開発している。
当社は、酸化亜鉛ナノワイヤを用いた独自のデバイスを開発し、尿からエクソソームを高効率に捕捉できる技術を保有。エクソソーム中には、核酸やタンパク質など豊富な生体情報を含んでおり、そのうち疾患の発症や悪性化に深く関与している生体分子であるmiRNAを1,300種類以上検出することに成功している。この発現パターンを機械学習で解析することで、高精度ながん検出アルゴリズムを生成し、その実用化を目指す。
当社の独自デバイスは、従来の方法と比較して4倍以上の種類のマイクロRNAを回収出来る技術を保有しており、健康状態の異常をより高い精度で感知することが可能。
また、1mLの尿で検査が完結する簡便さも弊社技術の大きな特徴の一つである。
尿検査により、痛みを伴わず、高精度にがんの早期発見ができる世界を目指す。
事業内容
- 尿中miRNA をバイオマーカーとしたがんの早期診断
テクノロジー
「MICRO RNA」
細胞から分泌される生体物質であり、がん細胞と正常細胞では分泌されるmicroRNAの種類や量が異なる。がん細胞のmicroRNAは血液検査・画像診断・内視鏡等では発見しにくい早期の段階のがんから分泌されるため、新たながん早期診断のターゲットとして研究されている。
「DEVICE」
酸化亜鉛ナノ構造体とマイクロ流路を組み合わせた当社独自のデバイスにより、がん細胞から分泌されて、尿中に含まれる微量のmicroRNAを高効率に分離・回収することで、高精度ながん早期診断を可能にする。
「AI」
当社の保有するmicroRNAデータベースと機械学習技術を組み合わせることにより、独自のがん診断プログラムの開発を行っている。ナノデバイスにより分離・回収されたmicroRNAのプロファイルをがん診断プログラムにより分析することで、がんの早期・高精度診断を行う。
採択・受賞歴
- 2019年1月 平成30年度「研究開発型ベンチャー支援事業/シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援」に採択
- 2019年7月 「大学発ベンチャー表彰2019」にて「新エネルギー・産業技術総合開発機構理事⻑賞」を受賞
経営者プロフィール
代表取締役(CEO)・共同創業者 小野瀬 隆一
早稲田大学国際教養学部卒。小学生時代をインドネシアと米国で過ごす。大学時代はアジア最大の英語劇大会制覇、また1年間カナダのマギル大学に留学。
- 2014年4月 三菱商事株式会社入社、4年間米国からシェールガスを日本に輸入するLNG船事業に従事。
- 2016年5月 サイドビジネスで民泊会社を全国で展開。
- 2018年4月 三菱商事を退職。
- 2018年5月 Icaria Inc.創業。
最高技術責任者(CTO) 市川裕樹
東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号取得。ケミカルバイオロジーを専攻し研究に携わる一方、米国のNPOにて開発途上国への医療テクノロジー導入も支援。
- 2013年7月 外資系製薬会社に入社。MR、全社プロジェクトのPMO、マーケティングと経営企画のマネジャーに従事。
- 2019年1月 同社を退職後、Icaria株式会社に参画。
技術顧問・共同創業者 安井隆雄
名古屋大学 大学院工学研究科 生命分子工学専攻 分子生命化学 准教授。研究テーマはナノデバイスを用いた生体分子解析法の開発、並びにナノ空間を利用した新奇分析手法の開発。
- 2011年 名古屋大学大学院 工学研究科 化学・生物工学専攻にて博士号取得。
- 2014年 ImPACTプロジェクトマネージャー補佐就任。
- 2015年 JSTさきがけ研究員を拝命。がん細胞から正常細胞へ輸送されるがん化因子であるエクソソームの定量解析を目指している。
(同社Webサイト、同社Wantedlyおよび同社PR TIMES掲載情報を基に当社編集)