京大iPS細胞研究所が発明した「RNAスイッチ」を基盤技術とし、再生細胞医薬品精製や創薬事業を行うベンチャー
株式会社aceRNATechnologies
画像取得先: http://acernatec.com/
会社概要・事業内容
会社概要
京都大学iPS細胞研究所の齊藤博英教授らが発明した「RNAスイッチ」を基盤の技術とし、再生細胞医薬品の精製や創薬事業を行うベンチャー。
2019年6月には、「RNA スイッチ」技術を活用した細胞選別試薬の製品化及び販売を開始。特定の細胞種だけを識別または選別することができる試薬である。
自殺遺伝子を使用した選別用の「RNAスイッチ」では、細胞に導入するだけで特別な機械などを使用せず、迅速かつ簡単に研究をすることができるものとして、研究現場などの生産性向上に大きく寄与することが期待されている。
2018年11月、シードラウンドの資金調達の実施(引受先:京都大学イノベーションキャピタル株式会社)。
2019年11月、第三者割当増資による資金調達を実施(引受先:京都大学イノベーションキャピタル株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、複数名の個人投資家)。
事業概要
「RNAスイッチ」技術を活用することで、マイクロRNA(miRNA)の細胞内での活性化の状態を細胞が生きたまま可視化できるRNAデバイスを製品として市場投入することを目的としている。再生医療分野では、iPS細胞から心筋細胞など種々の細胞を分化誘導するが、がん化を惹き起こす未分化細胞を除去することが重要になってくる。「RNAスイッチ」技術は、この課題を解決する重要な技術を提供するものである。
「RNAスイッチ」
細胞種ごとに特異的に発現するmiRNAを標的とする配列を含んだ人工的なmRNA。
「RNAスイッチ」は細胞内に存在し、生命現象の様々な作用機序を制御すると言われているmiRNAを検知して、細胞の遺伝子発現を制御することができる。細胞内のmiRNAの活性状態を細胞が生きたまま識別できることが大きな特徴の1つであり、このツールにより判明した細胞種特異的な活性miRNAに対応するRNAスイッチを使うことにより、再生医療に用いる心筋細胞など分化した目的細胞の同定及び選別や疾患に関連するmiRNAの探索ツールとしての応用を可能とする。
iPS/ES細胞から分化誘導後の細胞純化実施例
iPS細胞やES細胞から分化誘導を行った細胞群に「RNAスイッチ」を導入。所望の細胞種を選別できるように設計した「RNAスイッチ」を用いることで、分化誘導後の所望の細胞の識別、選別を行う。
実績:心筋細胞、肝細胞、内皮細胞、神経細胞、インスリン産生細胞など
プロダクト
「RNA Switch™シリーズ」
京都大学iPS細胞研究所の齊藤博英教授らによって発明された「RNAスイッチ」技術を用いた製品シリーズ。
「RNA Switch™」は、miRNAを認識する配列とマーカー遺伝子を含む人工的に作製したmRNA。本シリーズでは、マーカー遺伝子に蛍光タンパク質や自殺遺伝子を用いることにより、細胞の識別や選別を可能としている。セルソーターなどの機器を使用することなく、特定の細胞のみを抽出することが可能。また、通常のトランスフェクションと同様の工程により、簡単に細胞に導入することができる。
- Control detector RNA Switch™ : 検出用コントロール、導入効率の確認
- CM detector RNA Switch™ : 検出用(心筋細胞)
- iPSC detector RNA Switch™ : 検出用(iPS 細胞)
- CM purifier RNA Switch™ : 選別用(心筋細胞)
- iPSC purifier RNA Switch™ : 選別用(iPS 細胞)
- iPSC eliminator RNA Switch™ : 除去用(iPS 細胞)
- puro resistant mRNA™ : ピューロマイシン耐性
受賞・採択歴
- 2019年7月 平成30年度補正ものづくり補助金に採択
- 2018年12月 京都産業21の「企業の森・産学の森」推進事業に採択
- 2018年9月 三菱UFJ技術育成財団の「平成30年度第1回研究開発助成金」に採択
- 2018年9月 特許庁の「知財アクセラレーションプログラム」の支援先企業に採択
経営者プロフィール
代表取締役 進照夫
(同社Webサイトを基に当社編集)