感染症発症を予防する独自技術「カチオン化ナノゲル経鼻デリバリーシステム」で、経鼻粘膜ワクチンの開発めざす
株式会社HanaVax
画像取得先: https://www.hanavax.co.jp/
会社概要・事業内容
会社概要
「次世代型経鼻ワクチン」の開発を行う創薬ベンチャー。
ナノゲル研究と粘膜免疫研究の草分け的存在の京都大学秋吉一成教授と東京大学清野宏教授との10年にわたる共同研究から、現在、新規の肺炎球菌の経鼻ワクチンの開発を進行。
当社の事業モデルは、当社または国内外の企業・大学・研究機関等が開発したワクチンシーズ(抗原、アジュバント)を当社のカチオン化ナノゲルシステムに組み込み、前臨床、初期臨床試験までを行い、後期臨床試験からは国内外の製薬会社に開発製造販売権をライセンスし開発を委ね、そのライセンス先製薬会社からライセンス収入を得るものである。一般に医薬品開発は10年以上かかるが、各国の当局の製造販売承認を得て上市される前でも、ライセンス先製薬企業から開発進捗に応じたライセンス関連収入を得て開発を継続することが可能。
当社設立とともに知的財産戦略ネットワーク(株)、東京大学・京都大学、アラバマ大学から特許の独占的実施権の許諾を受け、肺炎球菌経鼻ワクチンの前臨床試験を実施、企業治験に用いる治験薬の製剤化検討、早期臨床試験までを自社または共同研究で行う予定。同時に肺炎球菌以外の呼吸器・性器感染症ワクチンの開発研究を国内外の企業・大学・研究機関との共同研究を通して遂行する予定である。
事業内容
- 感染症疾患などに対する経鼻ワクチン開発
ナノゲルデリバリーシステムとは
呼吸器感染症に対するワクチンは、全身系の免疫に加えて、病原体の侵入門戸である呼吸器粘膜に「粘膜免疫」を誘導できる経鼻ワクチンがもっとも有効なワクチンと考えられている。
ナノゲルとは既にヒトでの安全性が確認されているコレステロールプルランのことで、カチオン化することにより、さらに効果的に粘膜免疫を誘導する事ができる。
ワクチン抗原単独またはアジュバントとともにナノゲル内封入し、経鼻投与を介して粘膜に導入することで、ワクチンおよびアジュバントを効果的に免疫担当細胞にデリバリーすることで、全身系及び粘膜系両方の免疫を誘導できるシステムである。カチオン化ナノゲルに封入されたワクチン・アジュバントは、容易に上皮細胞に取り込まれる。カチオン化ナノゲルは人工分子シャペロンとしてワクチンの構造保持に働き、上皮細胞基底膜下の樹状細胞にワクチン抗原を効率よくデリバリーすることで抗原を免疫系に効果的に提示し、強力な免疫応答を粘膜系と全身系両方に誘導する。
つまり、カチオン化ナノゲル経鼻デリバリーシステムは、ヒトが有する二段構えの防御免疫を惹起し、感染症の発症を予防する。
開発中のワクチン
- 肺炎球菌ワクチン
- 無莢膜インフルエンザ菌(NTHi)ワクチン
- ヒトパピローマウイルス(HPV)予防ワクチン・治療ワクチン
- 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン
- 結核ワクチン
経営者プロフィール
代表取締役社長 黄宝星
デンマークに本部を置く医療機器メーカーにて、日本子会社を立ち上げた後、同社の代表に就任。2017年に株式会社HanaVaxに入社、代表取締役に就任。
共同創業者・最高技術責任者 幸義和
日本のバイオベンチャーの草分け企業及びアメリカの現地子会社にて一貫して研究開発を担当。2002年より、東京大学医科学研究所において、粘膜免疫学を基盤としたワクチン開発を先導。2016年に株式会社HanaVaxを創業。
(同社Webサイトを基に当社編集)