進化分子工学を用いた独自プラットフォーム技術で次世代バイオ・中分子医薬品を開発する埼玉大発ベンチャー
株式会社Epsilon Molecular Engineering
画像取得先: https://www.epsilon-mol.co.jp/
会社概要・事業内容
会社概要
「未来のバイオ分子を創造する」をミッションに掲げ、次世代バイオ・中分子医薬品、酵素代替分子等機能性材料の開発を行う埼玉大学発ベンチャー。未来社会に必要とされる機能バイオ分子を世界に先駆けて提供していく会社として2016年に設立。2018年ノーベル化学賞受賞分野の進化分子工学を基盤技術としている。
特に注力している創薬分野では、VHHおよびサイクリックペプチド・ライブラリのハイスループットスクリーニング自動化技術と独自の膜タンパク標的分子の調製技術を駆使し、医薬品を開発している。
進化分子工学の技術によって、Heavy chain single domain抗体(VHH)やcyclic peptides等のcDNA Display Librariesを独自に構築し、次世代シークエンスNGS、FACSそしてAIを活用した独自のHigh throughputシステムを構築。
現在は創薬・医療領域にフォーカスし、新しいモダリティによる新世代のバイオ医薬品や中分子医薬品の開発候補品の取得、並びに細胞・遺伝子治療でのVHHの活用に取り組んでいる。製薬企業等の提案に基づく共同研究開発を展開し、さらに自社研究開発パイプラインについて共同研究開発パートナーとの早期の提携を目指して研究開発に取り組んでいる。
平成29年度NEDO研究開発型ベンチャー支援制度(STS)の助成のもと、進化分子工学技術のひとつである『遺伝子型/表現型分子対応付け技術』の自動化に成功。
これにより1014(数百兆)の多様性を持つ、均質なcDNAディスプレイライブラリの自動調製が可能となった。
また、スクリーニング技術に細胞分取の技術を応用することにより、従来のスクリーニング方法と比較し、(1)標的分子結合性VHHまたはペプチドアプタマーのスクリーニング期間を大幅に短縮することが可能となり、(2)より高親和性な結合特性を示す分子獲得が期待される。
また、RePHAGEN社との技術提携によるナイーブVHH遺伝子ライブラリの他に、自社では高品質なペプチド遺伝子ライブラリを所有。標的分子がGPCR等の複数膜貫通ドメインを有する膜タンパク質の場合、その活性型構造を保持したままスクリーニングに用いるため、高純度の均質な標的分子調製技術を保有している。これにより従来の方法では困難であった標的分子に対する次世代のバイオ医薬(VHH・ペプチドアプタマー)の創出を行う。
2019年10月、シリーズAラウンドのファーストクローズとして、三菱UFJキャピタル株式会社、リアルテックファンドを割当先とする第三者割当増資を実行し、2億3千万円を調達。
事業内容
- バイオテクノロジーの研究開発、コンサルティング、バイオ情報管理
コアテクノロジー
cDNA displayライブラリー
- シングルドメイン抗体(VHH)
- 環状ペプチド(CP):ユニークな環状化
- 巨大な多様性(1013-14)
EME独自のハイスループットスクリーニング
- SDNCシステム: In vitro Selection by Differencing operation using NGS and Cell-Sorter with cDNA display
ナノディスク-ディスプレイ
- 複数膜貫通タンパク質(高活性型)
研究開発
VHH抗体、環状ペプチドアプタマー、および新規スキャフォールド分子を活用した新世代のバイオ医薬品、中分子医薬品の研究開発、さらには細胞治療や遺伝子治療への応用に取り組んでいる。
- VHH抗体・環状ペプチドアプタマーによる医薬シーズの研究開発
- ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)への応用
- 再生医療分野・遺伝子治療分野への応用
- 高感度検出システム・診断領域への応用
- 低分子化合物設計のための構造情報の取得
- 人工酵素の研究開発
沿革
- 1985年 埼玉大学において、進化分子工学の研究が始まる
- 1997年 遺伝子型/表現型対応付け技術であるin vitro virus法の開発に成功(埼玉大学、三菱化学生命研)
- 2008年 cDNA display法の開発に成功(JST埼玉バイオプロジェクト/産総研/埼玉大学)
- 2014年 北陸先端科学技術大学院大学藤本健造教授との共同研究により、cDNA displayのハイスピード調製法を開発(埼玉大学)
- 2015年 cDNA displayハイスループットシステムの原理を特許出願(埼玉大学)
- 2016年8月 埼玉大学発バイオベンチャー企業として設立
- 2017年4月 埼玉大学オープンイノベーションセンター研究棟201室に事業所を設立
- 2017年9月 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)平成29年度『研究開発型ベンチャー支援事業/シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援(STS)』に採択
- 2018年9月 公益財団法人三菱UFJ技術育成財団(MU-TECH)平成30年度第1回研究開発助成金に採択
経営者プロフィール
代表取締役社長 根本直人
埼玉大学大学院 理工学研究科 博士課程 生物環境科学専攻 博士(学術)
1996年 (株)三菱化学生命科学研究所特別研究員
1999年 (株)ジェンコム 主任研究員
2003年 バイオビジョン・キャピタル(株)研究企画部長
2003年 (独)産業技術総合研究所 ベンチャー開発戦略研究センター 招聘研究員
2006年 ジェナシス(株)執行役員・科学最高責任者
2008年 埼玉大学大学院理工学研究科物質科学部門准教授
2015年 埼玉大学大学院理工学研究科物質科学部門教授
2016年 (株)EME取締役
2017年 (株)EME代表取締役
(同社Webサイトを基に当社編集)