認知症など脳神経疾患における最大難関を突破。脳へ薬物を送達できる画期的技術を開発するバイオベンチャー
株式会社ブレイゾン・セラピューティクス
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会社概要・事業内容
会社概要
アルツハイマー病などをはじめとする認知症など脳神経疾患における最大の難関であった血液脳関門を突破して脳へ薬物を送達できる画期的な技術の開発を行うバイオベンチャー。
東京大学大学院工学系/医学系研究科・片岡一則教授および東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・横田隆徳教授の共同研究成果である脳内への薬剤デリバリーに関する画期的な技術を、医療・ライフサイエンス領域において応用・実用化することを目的として2015年10月に設立。片岡教授と横田教授は、ナノ材料工学と神経科学という、それぞれの専門性の緊密な連携によって、血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)を超えて、薬物を脳内に送達できる画期的な技術を共同開発。この技術に基づき、当社は薬物送達システムプラットフォームを構築。
当社の薬物送達システムプラットフォームは、製薬企業、バイオテック企業ならびに大学等の学術機関とライセンス提携関係を構築することによって活用することができる。また、この基盤技術の力と薬剤開発の専門性を基礎として、当社が自ら「医療ニーズ重点的な」パイプラインを構築することにより、十分な恩恵を受けていないCNS疾患の方に新しい治療を創出している。
2017年2月には、当社の薬物送達技術(DDS)に関わる特許が日本国内で成立。この強固な基盤特許を基に、送達に関わるミセルなどの物質特許も併せて出願。当社は脳へ送達を必要とする薬物を開発あるいは既存の薬物の送達の改善をめざす製薬会社へのナノミセルの調製、最適化による基盤技術のライセンス事業を博大するとともに、創薬シーズの開発にも着手。製薬会社とのフィジビリティスタディならびに共同研究を精力的に展開するために、研究ならびにミセル製造体制を強化していく。
また、製薬会社とのスムーズな共同研究を推進するため、2019年4月に米国ボストンに研究拠点を設立。
事業内容
主に中枢神経領域を対象とした医薬品、診断薬、研究用試薬などの研究開発、ライセンス等
(東京大学および東京医科歯科大学の共同研究成果に基づくバイオ・創薬領域の事業)
テクノロジー
脳に薬を届けるグルコースリガンド修飾高分子ミセルによるBBB突破薬剤送達
東京医科歯科大学 脳神経病態分野の横田隆徳教授と、東京大学大学院工学系研究科 片岡一則教授の医工連携の研究成果から生まれた画期的な技術。
液脳関門(Blood-brain Barrier:BBB)は、脳血管内皮細胞にある生体内バリアであり、脳の活動に必須な栄養素のみを選択的に取り込む機構だが、一方で中枢神経疾患の薬剤の脳への送達を困難にし、治療薬の開発を著しく難しくする要因となっている。したがって、中枢神経疾患を重点領域とする世界中の製薬会社にとって、脳移行性技術はブレイクスルーテクノロジーとして注目されている。
当社の技術は、脳がブドウ糖を選択的に取り込む機構を利用して、薬物を内包する表面をグルコース修飾したナノ粒子(ナノマシン)を、血糖の変動によって脳に高い効率で届けることにより、薬物を脳へ送達できる技術。また、ナノマシンには、低分子化合物だけでなく核酸医薬や抗体など、様々な医薬品を封入できるので、これまで決して脳には到達させることができなかった分子の送達も可能になると期待されている。
沿革
- 2015年10月 東京大学大学院工学系/医学系研究科・片岡一則教授および東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・横田隆徳教授の共同研究成果の応用・実用化を目的として東京都文京区にて当社設立
- 2016年2月 東京医科歯科大学発ベンチャー称号授与
- 2016年3月 第三者割当増資により合計1億600万円のファイナンスを達成
- 2017年2月 当社DDS技術に関わる特許が日本国内で成立
- 2017年10月 Nature Communications誌に、当社DDS技術の論文が掲載
- 2018年4月 当社DDS技術に関わる特許が米国内で成立
- 2018年5月 ナノ医療イノベーションセンター(川崎市殿町キングスカイフロント内)に研究所を開設
- 2018年7月 第三者割当増資により合計6億4,500万円のファイナンスを達成
- 2019年4月 米国子会社を設立(マサチューセッツ州ボストン)
- 2019年6月 本社を移転し、東京大学南研究棟アントレプレナーラボに入居
- 2019年6月 J-Startupに選定
- 2019年8月 IPAS(特許庁知財アクセラレーションプログラム)2019に選定
経営者プロフィール
代表取締役 戸須眞理子
東京薬科大学卒業 明治薬科大学大学院課程外博士 薬剤師、薬学博士
国立がん研究センターならびに東京大学医科学研究所における研究生活を経て、1991年にアマシャム・ファルマシア・バイオテク(株)(現在のGEヘルスケア・ジャパン(株))にNEDO事業による研究プロジェクトの主任研究員として入社、その後、同社内にてテクニカルサポートならびにマーケティングを担当。そののち、日本ミリポア株式会社(現在メルク・ミリポア(株))、インビトロジェンジャパン(株)(現在のサーモフィッシャー(株))、ベックマン・コールター(株)でマーケティング部長、事業部長を歴任、2013年フリューダイム株式会社代表取締役に就任、2017年2月退職。2017年3月株式会社ブレイゾン・セラピューティクス代表取締役に就任。
(同社Webサイトを基に当社編集)