ヒトiPS細胞由来の巨核球を不死化・凍結保存する技術を保有。ヒトiPS細胞由来血小板製剤を世界の医療現場へ!
株式会社メガカリオン
画像取得先: http://megakaryon.com/
会社概要・事業内容
会社概要
東京大学医科学研究所の中内啓光教授、京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之教授らが開発したヒトiPS細胞由来の巨核球を不死化・凍結保存する技術の知財を保有しており、ヒトiPS細胞から誘導した巨核球が産生する血小板の臨床応用を目指して2011年9月に設立。我が国初のiPS細胞を用いた再生医療の臨床応用および事業化を加速し、計画的安定供給が可能で、感染等のリスクを排した、ヒトiPS細胞由来血小板製剤を世界の医療現場へ提供することを目指す。
2013年より産業革新機構の支援を受けると共に2015年には、世界の医療分野における我が国の国際競争力の強化に寄与する取り組みであるとともに革新的な再生医療に関する研究開発であり、その事業化の推進が国家戦略特区の目標に合致するものとして、国家戦略特別区域法に基づく特定中核事業の適用第1号案件として内閣総理大臣より認定を受ける等、オールジャパン体制で事業を推進している。
事業目的
iPS細胞株から高品質の血小板及び赤血球を産生し、
- 計画的安定供給が可能で、
- 安全性が高い、
血液製剤を開発する。
基幹技術
iPS細胞から血小板を作る輸血医療のイノベーション
当社が目指す血小板製剤量産の基本となるのが、東京大学中内研究室・京都大学江藤研究室で開発したiPS細胞から血小板を産生する技術。中内・江藤両教授は2009年、iPS細胞を血小板の元となる巨核球を大量に増殖させる方法を見出し、血小板の量産化への途を開いた。当社はこの技術の特許を独占的に使用する権利を得て、血小板製剤の大量生産を実現するための研究を続けている。
大量生産の要となる巨核球
iPS細胞から血小板をつくる過程で、ポイントになるのが血小板の元となる巨核球(megakaryocyte)で、当社の社名(megakaryon)の由来でもある。血小板は常温で4日ほどしか保存がきかず、冷凍すると機能が失われてしまうことから安定供給のネックとなっている。中内・江藤技術は3つの遺伝子を用いてiPS細胞から凍結保存可能な不死化巨核球(細胞)株を樹立し、この巨核球細胞から機能を持った血小板を作りだすことに成功。この技術的ブレークスルーをベースとし更なる改良を積み重ね、現在、機能を持った血小板を必要に応じ量産化する技術の開発にめどをつけている。
病原リスク、ガン化リスクのない安全な血小板産生の実現へ
量産化に加え、この技術の優位性は2つの「安全性」にある。まず1つめは、献血による輸血には必ずつきまとう細菌やウイルス感染などの病原リスクがないこと。無菌下における細胞の複製によって量産化を可能にするこの技術では、マスター細胞の安全性を確保し、厳密に製造を管理することが可能となり、病原リスクをほぼなくすことができる。もう一つは、iPS細胞による再生医療の大きな課題であるガン化リスクがないこと。すなわち血小板自体は核を持たず増殖する能力はないこと、製剤化にあたり放射線照射が可能なことから、ガン化するリスクはない。安全性を高い次元で達成することは、私たちが目指す第2の輸血イノベーションの大きな目的でもある。
稀血、少数タイプのHLAドナーも将来にわたって安定供給を確保
稀なタイプのHLA型の血小板の輸血を必要とする患者の場合、HLA型の一致するドナーからの継続した血小板の確保が非常に困難となる。当社の技術によって、このような稀なタイプのドナーからiPS細胞を樹立し、樹立したiPS細胞から当社の技術を用いて凍結保存可能で大量に増殖できる巨核球株を準備すれば、こうした患者に対しても、将来にわたって安定的に供給を確保することが可能である。
特許
当社では、中内教授・江藤教授等が発明したiPS細胞から血小板を産生する技術に関する以下の特許群を独占的に使用することのできる契約を締結している。これらの特許のうち、すでにいくつかの特許が複数の国で成立。今後これらの特許のさらなる権利化と戦略的な活用を図ってゆくとともに、新たな発明を生み出し、特許を順次取得していく予定。
【東京大学】
- ES細胞から血小板を含む血液系細胞を製造していく技術
- iPS細胞から血小板を含む血液系細胞を製造していく技術
- 凍結保存可能な不死化巨核球前駆細胞を増産する技術
- 巨核球を多核化し成熟させ血小板を製造する技術
経営者プロフィール
代表取締役社長/創業者 三輪玄二郎
1974年 東京大学経済学部卒業
1974年〜1982年 三菱油化(現、三菱ケミカル)勤務
1982年〜1984年 ハーバード大学経営大学院(MBAwithDistinction修了)
1984年〜1986年 Bain&Company(米国コンサルティング会社)
1986年〜1994年 BioSurfaceTechnology(現Sanofiの一部門)共同創業者
1986年〜現任 アルディートアセットマネジメント共同創業者取締役
2009年〜現任 iCELL共同創業者代表取締役
取締役/最高技術責任者 渡部素生
1974年 東京大学農学部農芸化学科卒業
1974年~2002年 三菱油化(現、三菱化学)勤務
2003年~2007年 (株)セルフリーサイエンス代表取締役及顧問
2007年~2008年 東京理科大学産学官コーディネーター
2008年~2013年 科学技術振興機構技術参事
2009年~2013年 東京大学医科学研究所学術支援専門職員
2009年~現任 iCELL取締役
2013年~現任 科学技術振興機構プログラムマネージャー
2013年~現任 東京大学医科学研究所客員研究員
(同社Webサイトを基に当社編集)