世界初の超軽量透明断熱材「SUFA(スーファ)」を開発、事業化を進行する京都大学発の素材系ベンチャー
ティエムファクトリ株式会社
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会社概要・事業内容
会社概要
「世界初の透明断熱材サプライヤーを目指して」
京都大学発の素材系ベンチャー。地球上の固体の中で最も軽く最も断熱性能の高い「エアロゲル」と呼ばれる透明な材料の実用化に向けて、大手建材メーカーとの共同開発を進めている。
現在使われている断熱材料には、グラスウールやウレタンフォームなど、不透明なものしかない。そのため、建物や自動車の窓といった透明でなければならない部分には断熱材を使うことができず、そこからの熱損失は、低エネルギー消費社会を実現していく上で大きな課題となっている。
当社が京都大学とともに開発した「SUFA(スーファ))は、世界初の汎用エアロゲルとして、こうした課題の解決に向けた新しいソリューションを提供する。
- 平成26年度NEDOスタートアップイノベーター採択(約7,000万円獲得)
- 平成28年度NEDO戦略的省エネルギー革新技術プログラム採択(約10億円獲得)
- 平成30年度NEDO戦略的省エネルギー技術革新プログラム採択(約4億円獲得)
業務内容
- 機能性材料を用いた製品の研究開発、製造販売
超軽量透明断熱材SUFA(スーファ)の事業化を進行中。
世界初の透明断熱材料「SUFA(スーファ)」
「SUFA」は空気をそのまま固めたような軽くて透明な断熱素材。実際に、組成の95%以上は空気である。これまで一般市場には透明な断熱材料が流通していないため、実用化に成功すれば世界初となる。
この材料は学術的には「エアロゲル」と呼ばれており、地球上の固体の中で最も軽く、最も断熱性能の高い材料として知られている。
省エネによるCO2排出量削減が喫緊の課題となってきた昨今、地球上の固体で最も断熱性能の高いエアロゲルの重要性が再認識され、世界中で数十社のエアロゲルメーカーが設立されてきた。しかし、いずれのメーカーでも高透明度で大きなエアロゲルは作ることができず、エアロゲルを細かく砕いたパウダータイプや、その二次加工品のみに限定されているのが現状である。
しかし当社は、京都大学との共同研究の結果、現実的なコストでモノリス(板状)エアロゲルを生産できる技術を発明することに成功し、これを「SUFA」(=Super Functional Air)と名付けた。モノリスタイプでなければ透明性を維持することは難しく、そのため当社が「SUFA」の量産化に成功すれば、世界初の透明断熱材サプライヤーになると考えられる。
これまで透明な断熱材は一般市場に流通していなかったため、窓などの透明部分の断熱には真空ガラスや不活性ガス封入技術を用いるしかなかったが、「SUFA」をガラスにサンドイッチするだけで、トリプルガラス以上の性能が得られる。また、将来的には「SUFA」自体が超高断熱軽量ガラスとして、世界中の窓ガラスをリプレイスできる可能性を秘めている。
また「SUFA」は、世界で最も使われている断熱材(グラスウール)の約3倍の断熱性能を持つ。つまり従来の断熱性能を実現するための断熱材の厚さが1/3で済むため、透明である特徴を抜きにしても、既存の断熱材料に比べて住空間や輸送機などへの実装において大きなメリットとなる。
採択・受賞歴
- 2014年度 NEDO 研究開発型ベンチャー支援事業(SUI)採択
- 2016年度 NEDO 戦略的省エネルギー技術革新プログラム(SES)インキュベーション研究開発フェーズ採択
- 2017年度 経済産業省「飛躍NextVentures」採択
- 2017年度 新化学推進協会GSC(グリーンサステナブルケミストリー)奨励賞受賞
- 2017年度 大学発ベンチャー 経済産業大臣賞受賞
- 2018年度 NEDO 戦略的省エネルギー技術革新プログラム(SES)実用化開発フェーズ採択
- 2019年度 三菱UFJ銀行「第6回Rise Up Festa」優秀賞受賞
- 2019年度 めぶきフィナンシャルグループ「第3回めぶきビジネスアワード」最優秀賞受賞
沿革
- 2012年11月 設立
- 2014年10月 NEDO研究開発型ベンチャー支援事業(スタートアップイノベーター)採択
- 2016年 8月 NEDO戦略的省エネエネルギー技術革新プログラム(インキュベーション研究)採択
- 2016年12月 経済産業省「飛躍 Next Enterprise」事業採択
- 2016年12月 第1回 J-TECH STARTUP認定
- 2017年 2月 第三者割当増資による資金調達(1.5億円)実施
- 2017年 3月 京都ベンチャー企業目利き委員会「Aランク」に認定
- 2017年 5月 新科学技術推進協会 第16回 グリーン・サステイナブル ケミストリー奨励賞 受賞
- 2017年 8月 科学技術振興機構 大学発ベンチャー表彰 経済産業大臣賞受賞
- 2017年10月 第1回無担保転換社債型新株予約権付社債(1億円)発行
- 2018年 8月 NEDO戦略的省エネルギー技術革新プログラム(実用化)採択
- 2018年 9月 第三者割当増資による資金調達(約4億円)実施
- 2019年 4月 三菱UFJ銀行「Rise Up Festa」優秀賞 受賞
- 2019年 5月 めぶきフィナンシャルグループ「第3回めぶきビジネスアワード」最優秀賞 受賞
経営者プロフィール
代表取締役 山地正洋
2004年慶應義塾大学にて工学博士号取得。
物質材料研究機構、産業技術総合研究所等にて国家プロジェクトのポストドクターとして研究に従事。京都大学に研究員として在籍中にティエムファクトリ株式会社を設立。
2008年Microoptics Conference(MOC)微小光学国際会議にて最優秀論文賞受賞。
取締役CTO 會澤守
(同社Webサイトおよび同社Wantedly掲載情報を基に当社編集)